ビジネスシーンにおいて重要なスキルとも言える「やりきる力」。一般的レベルか、それ以下の学歴の筆者も、ビジネスの場において「やりきる力」を持って東大や慶應、早稲田などの高学歴者に勝ち、彼らを部下としてマネジメントしてきた経験があります。今回は、そんな「GRIT」とも呼ばれる「やりきる力」と、その身につけ方について、お話しようと思います。
やり切り力とは
「やり切る力(GRIT)」とはどのような力なのでしょうか?Amazonで販売されている「やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける」という本に書かれていますが、「情熱」と「粘り強さ」=「やり切る力(GRIT)」だとされています。
引用:Amazon
「情熱」と「粘り強さ」とは何でしょうか?辞書で調べてみると下記のように書かれています。
「情熱」とは
その物事に対して激しく燃え上がる感情。熱した感情。
「粘り強さ」とは
金属材料に打撃のような急激な力が掛かる場合に、その力に対して抵抗する強さの事を言う。
逆に難しくなってしましますね。筆者の考える「やりきる力」のある人とは、今どき古い考え方かもしれませんが、「達成意識」「根性」「根気」などを持ち合わせて、しっかり目標を達成できる人だと考えます。
営業職で言う売上目標というのは、アンコントローラブルで達成する難易度は高いですが、KPIとも言われるテレアポの件数やダイレクトメールの発送数など、しっかり計画をたてて行えば達成できる目標をしっかりやれる人は「やりきる力」があると言えるのではないでしょうか?要はやるかやらないかですね。
そもそもKPIは、しっかりクリアできればKGIである売上目標も達成できるように設計するものなので、しっかりテレアポ等の件数をややり切っている人はアンコントローラブルな売上目標もクリアできている傾向にあると思います。
やり切り力の「ある人」と「ない人」
では「やりきる力」のある人とない人はどのような違いや特徴があるのでしょうか?
「やりきる力」のある人
- 当事者意識のある
- 主体性がある
- 自責マインドがある
- コツコツ型のタイプ
- 行動力がある
- 積極的な人
- ストレスに強い
- アイデアを出せる
- 自ら目標設定ができる
- ロジカルな人(目標を達成するためにアクションに落とし込める人)
- リーダーシップの取れる人
- セルフマネジメントができる
「やりきる力」のない人
- 飽き性
- 言い訳が多い(他責マインド)
- 作業は全てヤらされ事
- 消極的な人
- 指示待ち人間
- ストレスに弱い
- アイデアが出せない
- 目標設定が出来ない
- ロジカルではない人
- セルフマネジメントが出来ない
なんとなく納得できる気がしますね。私自身、昔はビジネスにおいてマネージャーなんて何故必要なのだろう?と思っていたことが有りました。何故なら自分のように動く人がいれば皆、自走できるので、マネージャーは不要だろうと思っていました。でも、いろいろな方と仕事をしていく中で、その答えがわかりました。
仮に1ヶ月で200件というテレアポの目標があったとして、単純計算で1ヶ月20営業日だったら、一日に10件こなせば目標はクリアできるのです。ただ、マネジメントが必要とされる人たちは一日に何件やれば良いかという発想にならな無いのです。また、そのような人は他のタスクについては同じ事が言えるので、1日に行うタスクの管理さえ出来ないのです。
そのような人には、やはりマネジメントしてくれるマネージャーという存在が必要なのです。
「やり切る力」の必要性
前述で述べたような「やりきる力」のある人とない人の特徴を見ただけでも「やりきる力」はあったほうが良いのがわかりますし、「やりきる力」のない人は会社にとっては不必要な存在な方が多そうですよね。
ですので、会社の採用担当の方は「やりきる力」がありそうか、なさそうかを見極めて、「やりきる力」がなさそうな人は採用しないようにしているのです。
なぜ、就職活動において体育会系出身者が好まれるのか?なぜ、採用面接で粘り強さなどをアピールしなければならないのか?という点も納得がいきますね。
「やり切り力」を身につけるには
「やりきる力」は天性の才能なのでしょうか?それとも身につけることができるのでしょうか?答えは後者です。
では「やりきる力」を身につける為に自分で出来ることを見てみましょう。
ロジカルシンキング(論理的思考)を身につける
上述でも触れましたが、「やりきる力」のある人は目標(KGI)から逆算してアクションプラン(KPI)を設定できる人です。
ロジカルシンキングの書籍などを読むと気が遠くなるようないろいろな手法などが書かれており、習得するにはかなりハードルが高いと私自身も感じます。
ですので、ここで身につけていただきたいのは「目標から逆算してアクションプランを立てる」という習慣を身につけて頂きたいです。逆算すること自体は難しくないので、それを習慣化できるよう心がけてください。
小さな目標を設定して小さな成功体験(勝ち癖)を積み重ねる
これはスポーツでの目標設定に置き換えて説明が出来ます、いきなりマラソン大会優勝を目標に掲げてもクリアすることは出来ません。
まずは頑張ればクリアできるような目標を設定します。自分の実力の110%程度でしょうか?例えば42km完走できない人は毎日2km走って一月での合計で42km走りましょう。
それができれば、次は1週間の合計で42km走る。というように徐々に筋肉質な体にしていって最終的には1回で42km走れるようにしましょう。
その次は、同じ42kmを走るにしても、最初は5時間かけて完走。その次は4時間半、その次は4時間というようにタイムを縮めていくことで、大会に出た場合100位だったのが、50位、20位、10位とタイムも順位も上げていくことが可能です。
また小さな大会や距離の短い大会にチャレンジしてみてそこで上位をとったり優勝したりするのも良いでしょう、「勝ち癖」がつくと「次は負けられない」という意識が芽生えますので、徐々に「やりきる力」も身についてきます。
失敗を恐れずチャレンジし続ける習慣をつける
何をやってもうまくこなせる人(何を売ってもトップセールスマンになる人)っていますよね?上記のようにある分野で勝ち癖ができると、他のことをやったとしても「目標の逆算」や「小さな目標設定」などは転用出来ますので、目標達成の確度が上がります。是非いろいろな事にチャレンジしてみてください。
何事も自分ごとと捉えて行動する
「やりきる力」のある人ある特徴でも触れましたが、「やりきる力」のある人は何事も自分事と捉えて行動できる「当事者意識」があります。
- 「このチームは俺の力で優勝させる」
- 「この部署を目標達成に導くのは私だ」
- 「頑張ってこの会社をIPOさせよう」
このように当事者意識を持って行動すれば、仕事も楽しくなりますし、「やりきる力」の「ある人」にある特徴であげたような「積極性」や「主体性」などは自ずと出てきます。
最後に
いかがでしたでしょうか?「やり切る力(GRIT)」とは天性の才能ではなく気の持ちようや努力、習慣で身につけることが可能だということがわかりましたね。
また、「やりきる力」のある人とない人の違いを見ても、あったほうがよい力だと言ういことが分かります。
「30歳を過ぎたら人は変われない」とよく言われますが、筆者自身30歳前半のある経験から意識と行動を変えて「やりきる力」が身につきました。ですので「自分は30代なのでもう遅い」と考えている方がいれば、それは間違いです。是非、小さなことからチャレンジしてみてください。
面白いことに自分が「やりきる力」が身につくと、身につける前の自分のような部下などに自分の成功体験から、自分の価値観や高い目標を課すような「クラッシャー上司」といわれる人になることもありますので、自分事と捉えながらも相手の立場にも立てる上司を目指しましょう。
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